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ぽんぬの主に同人関係お知らせブログ。 「軟骨撤退」または「投擲クロワッサン」というサークル名で東方界隈をうろうろしてます。
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勢いづいてまたもやSSをUP。
以前書きかけてたのを修正したもの。てんゆかのようなゆかてんのような。

アテンションプリーズ!

※注意※
・紫と天子が肉体関係を持っているっぽい。
・でも恋人同士でもないっぽい。
・あとなんか地味に藍と橙もデキてるようなそうでもないような。
・ねちょいシーンはないよ! 残念だったな!

+補足+
・山落ち意味は特になく、自分的てんゆかてんの一幕。こんな感じかなーとか。

続きからドゾー。



【恋人以上友達未満】


 ――怠惰な眠りから、緩やかに覚醒する。
 肺の辺りが嫌に重苦しい。視線を下げると、底抜けに晴れた日の空みたいな色の髪が私の胸の上にくしゃくしゃと広がっていた。その中央部、谷間に突っ込まれた頭を、鷲掴みにするようにして無理矢理に押し退ける。くぐもった悲鳴と言うかぐずり声とともに、蒼髪の少女――比那名居天子が顔を上げて此方を見た。
「ん、ぁー……あれ、ゆかり。おはよう?」
「はい、おはよう。とりあえず、邪魔だから起きなさい」
「んんー……」
 分かっているのかいないのか、またも胸の膨らみの間に顔を押し付けてくる天子。腹が立ったので、勢い付けて平手で蒼い頭を引っ叩いた。それなりに加減なく力を込めたので中々痛かったのだろう、今度こそ彼女はがばりと身を起こした。
「ちょっと、痛いじゃない、ばか」
「あんたが起きないのが悪いのよ。ああ、もう――いい加減ちゃんと起きて、帰る準備をなさい。朝には藍たちが戻ってくるんだから」
 はいはいと気の抜けた返事をすると、天子は乱れたシーツの中から抜け出し、その裸身を部屋へと差し込む月影に晒した。女としての円やかな成熟よりも寧ろ若さに由来するしなやかさが先に目に付く身体つき。
 綺麗だけれど色気の方は絶望的だわね、と思いながら私は欠伸をした。寝入ってから精々一刻そこらしか経っていないだろう。まだまだ眠り足りない。その辺に放り出した衣類を掻き集めているらしい天子を余所に、再び惰眠を貪るべく頭までシーツに潜り込む。
「ねえ紫、あんた私のブラ知らない?」
「……知らないわよ。て言うか必要ないでしょ貧乳」
「ほほう。あんた後で天地開闢プレスね!」
 怒りが有頂天だわ、とか阿呆なことを言っている。まともに取り合うのも馬鹿らしく、そう言えば私の下着はどこにやったかしらとぼんやり考える。まあ、今度は帽子がないとか騒いでいるこの天人が帰ってからゆっくり探せばいいか。
「あれ、これ紫のパンツだ。ふーん、こうやって見ると結構なサイズね、胸だけじゃなくてお尻も大きいんだ」
「……」
 意趣返しのつもりか、或いは素朴な感想なのか、何れにしても腹立たしい。無言で枕を投げ付けるとへらへら笑いながら避けてみせた。
「部屋で暴れちゃ式に怒られるんじゃないの?」
「分かっているなら無駄口叩いてないでさっさと帰りなさいな。ああもう、忌々しいったらありゃしないわ」
「はいはい、そうさせて貰うわよ。全くあんたってば、私がベッドを出たら強気なんだから」
「……言ってなさい、子猫ちゃん」
 言い返してはみたものの、如何せんこの件に関しては天子の方に歩がある。歌ったり踊ったりで日々を暮らす天人は根本的に遊び上手であるらしく、そちらの方の手管も矢鱈に巧みだ。私とて所謂鮪同然などということはなく、年季と経験相応の技巧はあるつもりだけれど、彼女相手の戦績は芳しくない。
 ――これが他の少女相手ならば、やり込められるのもまた一興と楽しんだのだろうが。
「あんたみたいな脳足りんのお嬢ちゃんに大きな口を叩かれたくありませんわ」
「む、言ってくれるじゃない。次はほんとに泣かせてあげるからね。――あ、帽子あった」
 桃の飾りの付いたハットを頭に乗せて、天子はきょろきょろと周囲を見回す。何を探しているのか見当が付いたので、わたしは先に言ってやることにした。
「鏡ならないわよ。でも、別に変なところはないわ」
「そう? 可愛い?」
「可愛い可愛い。それで、お帰りはあちら」
「あんたは可愛くないわねー。分かったわよ、帰る、帰ります」
 溜息とともに襖を開く天子。溜息を吐きたいのは此方の方だ。
 しかしともあれ、これで漸く静かになる。さて藍が帰ってくるまでにどのくらい寝られるかしらと考えながら目を閉じて、
「ねえ」
「……今度は何よ」
「自分で帰るの面倒くさいからさ、スキマで送って行ってくれない?」
 回答を放棄する。狸寝入りを決め込むべく黙りこくっていると、あろうことかこの阿呆天人はわざわざ布団まで戻ってきて、シーツ越しに私の上に馬乗りになった。
「…………」
「いいじゃない、ちょちょーっとスキマ作るだけでしょ? こんな夜更けに美少女一人外に放り出して、危ないと思わないの?」
「…………」
「ねえ、お願いだってば。こんな時間に正面からノコノコ帰ったら、まーた衣玖にぐちぐち説教されるに決まってんだからさあ」
 それが本音か。
「……叱ってくれる人のいるうちが花よ。大人しくお説教されてきなさい、お嬢ちゃん」
「あ、なんだ起きてるんじゃない。ねえ送って行ってよ」
「お断り。あんたの門限破りの尻拭いなんてごめんですわ」
 しっしっと、蝿でも追うみたいに手を振るとやっと天子も諦めたらしく、いかにも渋々といった風に私の上から身体を除ける。
「ふんだ。じゃ、いいわよ。どうせならついでに朝帰りしてやるわ。博麗神社にでもお邪魔しようかしら」
「……は?」
「霊夢はあんたと違って、何だかんだで来るもの拒まずで優しいじゃない。まあ、只とは言わないわ。お礼に、そうね、地震除けの御守りでも――」
 全て聞き終わる前に、子どもみたいに小さくて綺麗に並んだ前歯を見せてにやついている小娘の首根っこを、その背後に開いた隙間から伸ばした手で引っ掴んだ。藍が橙の連れてきた悪戯猫にするように吊り上げれば淑女らしからぬ呻き声が上がる。もう片方の手も隙間を通して伸ばし、帽子を被った頭に五指を食い込ませた。所謂アイアンクローという奴である。
「ぐ、おおお……! 痛い、これちょっと痛いマジで痛い! 私の可愛い頭が妖怪ババアの怪力で割れあいたたたたたたごめんなさいやめて! 許して! プリーズ・フォーギブ・ミー!!」
「やかましいっ、とっとと去ね!!」
 そのまま、天界へと繋げた境界の歪み口へ放り込む。天子は痛みで涙目になりながら黒い空間へと姿を消した。去り際に中指を一本立てて行くのを忘れなかったのはいかにも彼女らしいと言うべきだろうか。
 ――不本意にも結果として彼女の要望に応じてしまったのが苛立たしく、思わず不躾に舌を鳴らした。指を立て返したくなる衝動だけは何とか堪える。
「全く、あのクソガキときたら」
 気分が悪いので寝てしまうことにした。藍が帰ってきたら、八つ当たりにちょっとからかってやろう。
 貴女、寝室に橙の下着を放っておくのはどうかと思いますわよ、とか何とか。貴女の夜の生活には口出ししないけれど、やっぱり気拙いじゃない、お互い。

 ◆ ◆ ◆

「畏れながら紫様、寝室にどなたかの下着を放っておくのは如何なものかと思います。紫様の夜の生活に口出しは致しませんが、やはり気拙いでしょう、お互いに」
「…………」
 あの小娘、結局ブラジャー回収しないまま帰りやがった――!!
 翌朝、は寝過ごして、昼下がりの寝室。部屋を片付けるという藍の言葉を生返事で聞き流していたらこの様だった。藍が浮かべた全力の苦笑がいたたまれなくて、何故かシーツにくるまったまま正座になって視線を逸らす。空気は生温いのに冷や汗ばかりが流れる。放蕩ぶりが白日の下に晒されたことよりも、後始末の不十分を暗に指摘されたことに恥じ入っていた。
 当の下着――サイズもデザインも慎ましやかなブラジャーは、私同様所在無げな佇まいで、藍の手からぶら下がっていた。両のカップの中央を飾る小さなリボンが哀しく揺れているのが視界の隅に映る。持ち主は気に入らないが、それはさておき可愛らしい下着だった。いや、どうでもいいけれど。現実逃避である。
「ええと――それで、この下着は如何致しましょうか。必要なら、お洗濯しておきますけれど」
「い、いえ。いくらなんでも悪いもの、私がするわ」
「あ、そんなことはお気になさらないで下さいませ。それに、他の洗濯物と一緒にしないと二度手間になってしまいますし」
 夜張りを見咎められた子どものように縮こまった私に対して、藍の態度は少しばかり憎たらしいほどに如才がない。よく出来た式だ。私がフローを組んだのだから当然だと思っていたが、ひょっとしたら鳶が鷹の部類だったのかも知れなかった。
 腕一杯に洗濯物を抱えた藍は、それでは失礼しますと頭を下げて部屋から退出しかけた。その際にふと戸口のところで立ち止まり、一番上に乗っかった件(くだん)のブラジャーをつくづくと眺めて、
「――それにしても、こう言ってはなんですが随分サイズが小さいですね」
「……放っておいてあげてちょうだい」
 思わず言ってやらずにはいられなかった。
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プロフィール
Author:ぽんぬ

女性。関西在住。学生。
サークル軟骨撤退の中の人。
字を書いたり絵を描いたり。

今ではすっかり東方厨。割と重度の神霊廟患者です。
あとはMagic:the Gatheringが好き。

連絡先:ponnu41@gmail.com
※@マークを半角に変更してください。
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